中小企業経営者向け 金融実務のポイント
1. 銀行融資の限度額と判断基準
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銀行は営利企業であり、融資には営業目標と審査基準がある。
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融資限度額の目安:
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月商の3〜4か月分(業種による)
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債務償還年数5〜7年以内
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経常利益の10倍以内
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銀行審査で重視される指標には、自己資本比率、キャッシュフロー、在庫回転などがある。
2. 設備投資手段の選択
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自己資金:金利不要、コスト安だが資金拘束あり。
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銀行借入:所有権保持、低金利。ただし返済義務あり。
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リース:初期負担少ない。全額損金処理可能だが総支払額は割高。
3. 担保と保証人の選択
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担保提供の方が責任が限定的。可能なら物的担保を優先。
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保証人は責任が重く、慎重な判断が必要。
4. 資金繰り悪化時の対応
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リスケ(返済猶予)でまず負担軽減 → 改善が見えたら追加融資へ。
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一時しのぎの融資より「止血(赤字解消)」が重要。
5. 緊急時の資金繰り対策
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資金繰り表の作成
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回収・支払条件の見直し、在庫・資産売却
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コスト削減(固定費、サブスクなど)
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公的融資、ファクタリング、銀行借換等の検討
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高金利の借入や税・社保の滞納はNG
6. 銀行との良好な関係構築
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日頃の情報共有と信頼構築が重要(決算説明・支店訪問など)
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金利交渉は複数行との関係構築、タイミング、支店事情の把握がカギ
7. 銀行の事情と注意点
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銀行側も営業目標達成に迫られており、利益重視。
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プロパー融資より保証付き融資を優先しがち。
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担保、私募債、シンジケートローンなどを勧められることもあるが、内容を精査すべき。