1. 発表者のバックグラウンドと立ち位置
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機構製品の開発設計に約20年従事し、ものづくり支援に強み。
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**実家が刺繍業(大橋ネーム)**であることから、アパレル業界、とくに「刺繍業」を軸に現場視点の知見を保有。
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自動車シート骨格、HBモータなど、異業種での設計経験もベースにしている。
最新ノウハウ研究会用資料_20251102 (1)
2. 刺繍業の実態と構造
① 業界構造・事業承継
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母親が約30年前に刺繍業を開業、紹介ネットワークにより受注拡大。
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近年、兄が事業承継。
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刺繍事業者数は減少傾向だが、1社あたりの出荷額は増加しており、集約が進行。
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② 刺繍の技術・設備特性
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季節性が強い業界であり、繁忙期分散が重要。
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帽子刺繍では「平頭・丸頭」により刺繍枠の可否が分かれる。
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機械刺繍では糸調整(テンション)が仕上がりを左右。
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最新機では**AIによる糸調子自動調整(タジマ製)**なども登場。
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多頭機・単頭機、操作系(ボタン式/タッチパネル)の特性差も整理。
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③ 刺繍価格体系
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刺繍は価格体系が一律ではなく、工程・設備・調整難易度により差が生じる。
(詳細比較は資料内で整理)最新ノウハウ研究会用資料_20251102 (1)
3. 学生服小売業の現状と課題
① 少子化と市場環境
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児童数の減少が進行しており、大手学生服事業者は少子化前提で戦略を構築。
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官公庁動向・自治体施策が事業環境に大きく影響。
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② 新技術・サービス
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**Bodygram(カメラによる体形測定)**を活用した採寸・商品提案が進展。
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小売業者のニーズとして「刺繍外注先の紹介」など、周辺連携の重要性が示唆。
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③ 季節構造・外注構造
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学生服は春先に業務が集中。
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刺繍業者減少・人口集中により、関東圏から中部・関東北部へ外注エリアが拡大。
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4. ECサイト運営の問題点
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学生服ECは「販売自体は可能」だが、
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学校別商品が他校へ誤って販売されるリスク
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プラットフォーム仕様理解不足による設計ミス
が問題化。
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BASEは鍵管理が難しく、EC-CUBE・カラーミーショップは制御性が高い。
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在庫管理には顧客管理+多店舗在庫管理が前提で、POS連携(例:スマレジ系)が重要。
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5. 学生服の商品特性と在庫問題
① 商品点数が増える構造的理由
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地域共通制服導入後も、旧制服・学校別胸章が残存。
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女子スカートは**丈調整不可(3cm刻み)**で、サイズSKUが増加。
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校則チェックもデザインで判別可能な設計。
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② 在庫の実態
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1校あたり約400点、
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小規模店舗でも20校対応 → 最大5,000点規模の在庫を保有する可能性。
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ブレザー・シャツ・体操服・靴・かばん等、通年+季節商品が混在。
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6. 商品コード・管理の課題
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商品名が長文化し、在庫登録・管理が煩雑。
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属性分解による**ルール化された商品コード(図番的発想)**の重要性を提案。
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製造業的な「属性×規格×仕様」での整理が、学生服・アパレル在庫管理にも有効。
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7. 全体の示唆(まとめ)
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刺繍業・学生服業界は
①少子化 × ②事業者減少 × ③在庫複雑化 × ④EC対応
という複合課題を抱えている。 -
一方で、
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技術(AI刺繍機、体形測定)
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管理(コード設計、POS・EC設計)
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連携(外注ネットワーク)
を整理・最適化することで、中小事業者にも十分な差別化余地があることを示す内容。
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