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『コロナ下における営業』を考える。 (2021年3月13日)

新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)は、企業活動に大きな影響を与えています。コロナは、①私たちの毎日がムリ・ムダ・ムラであふれていたこと、②そのムリ・ムダ・ムラが企業活動と生活に潤いを与えていたこと、③成長にはある程度のムリ・ムダ・ムラが必要なこと、その3つを明らかにしました。コロナの影響を乗り越え、企業を発展させるために、今、営業部門がすべきことを考察しました。

コロナ不況が今までの不況と違うこと  企業も家計も雇用も一斉に落ち込んだ!

景気ウォッチャー調査をもとに、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災時とコロナ不況を比較してみます。
過去の不況と比較し、景気の現状判断DIの落ち込み具合も大きいのですが、家計動向・企業動向・雇用の3項目の幅にも注目してみましょう。
リーマンショック時は、企業動向に比較して家計動向の落ち込みが少なく、東日本大震災時は、家計動向に比較して企業動向の落ち込みが少なく、それぞれが景気の下支えになっています。

一方で、今回のコロナでは、家計動向・企業動向、また雇用も同じように大きく落ち込み、支えがないことがわかります。また、コロナ流行の波により、回復傾向に乗り切れない状況も見て取れます。

営業活動の制約は、特に新規顧客の開発に悪影響

コロナによる「移動の制限」は営業活動にも大きな制約を与えました。
情報交換的な営業訪問は敬遠され、実務的な最小限のやりとりで済ますなど、一見するとムリ・ムダ・ムラに見える活動を省く風潮が拡がっています。
では、営業訪問はムダな行為であったのでしょうか。ある企業にて以前取った統計では、売上に最も関連する営業行為は“訪問活動”でした。

営業訪問の自粛は、情報交換から生まれる提案のきっかけ、アイディア創造を停滞させ、また、“分かりやすい強い商品・サービス”を持たない企業との新たな接触を避ける状況に繋がっています。
田岡信夫氏によるランチェスター戦略(二次法則)では「営業の戦闘力=商談時間2×商談の質」としていますが、“分かりやすい強い商品・サービス”を持たない中小企業にとって、商談時間を確保できない→新規顧客の開発が進まない環境となっています。

“顧客”にフォーカスし、基盤を強化する

移動の自粛は新規顧客開拓にマイナスと言いましたが、見方を変えればライバル社も環境は同じです。
新規顧客の開拓が困難な今は、従来以上に既存顧客を重視し、顧客における自社のシェアを高めることに注力すべきタイミングです。
顧客における自社のシェアを高めるには、①規模を高める②範囲を拡げる二通りがありますが、大切なことは“密度”です。密度の伴わない拡大は、ライバルから見れば隙だらけであり、付け込む余地を与えるだけです。

最終的に目指すは、密度とともにシェアを高め、「顧客にとって、なくてはならないパートナー」となることです。
「顧客にとって、なくてはならないパートナー」となることができれば、好況時にはライバルより早く大きく果実を手に入れることができ、不況時にはライバルより減少幅が遅く少ないポジションを得られます。体質を強くし、経営を安定させるためにも、既存顧客との関係を強めることに、注力していきましょう。

今こそ、“売上を創るプロセス”を整備しよう!

「営業の戦闘力=商談時間2×商談の質」はランチェスター法則で有名な式ですが、私はもう一つ、「商談の質≒提案力=速度2×提案内容」と考えています。
要素として、①商談時間を確保する、②提案速度を高める、③提案内容を高めるの三点があります。
時間は万人に平等ですから、①②③を伸ばしていくために、組織としていかに有効に時間を活用できるようにするかを考えていかなければなりません。

例えば、・営業訪問以外の事務作業を定型化する・良くある提案に関しては共通提案書を作成しデータベースにUPする・課題と解決法、その効果について事例のデータ化を行う等の方法が考えられます。
営業訪問が制約され、比較的時間の融通が利く今、営業プロセスを見直し、回復期に向けて準備を行うことが重要です。

最新ノウハウ実践研究会 天野 和則(中小企業診断士・消費生活アドバイザー・商業施設士)

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