活動報告

2025年11月例会 アパレル業界について

1. 発表者のバックグラウンドと立ち位置

  • 機構製品の開発設計に約20年従事し、ものづくり支援に強み。

  • **実家が刺繍業(大橋ネーム)**であることから、アパレル業界、とくに「刺繍業」を軸に現場視点の知見を保有。

  • 自動車シート骨格、HBモータなど、異業種での設計経験もベースにしている。

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2. 刺繍業の実態と構造

① 業界構造・事業承継

  • 母親が約30年前に刺繍業を開業、紹介ネットワークにより受注拡大

  • 近年、兄が事業承継。

  • 刺繍事業者数は減少傾向だが、1社あたりの出荷額は増加しており、集約が進行。

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② 刺繍の技術・設備特性

  • 季節性が強い業界であり、繁忙期分散が重要。

  • 帽子刺繍では「平頭・丸頭」により刺繍枠の可否が分かれる。

  • 機械刺繍では糸調整(テンション)が仕上がりを左右

  • 最新機では**AIによる糸調子自動調整(タジマ製)**なども登場。

  • 多頭機・単頭機、操作系(ボタン式/タッチパネル)の特性差も整理。

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③ 刺繍価格体系

  • 刺繍は価格体系が一律ではなく、工程・設備・調整難易度により差が生じる
    (詳細比較は資料内で整理)

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3. 学生服小売業の現状と課題

① 少子化と市場環境

  • 児童数の減少が進行しており、大手学生服事業者は少子化前提で戦略を構築。

  • 官公庁動向・自治体施策が事業環境に大きく影響。

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② 新技術・サービス

  • **Bodygram(カメラによる体形測定)**を活用した採寸・商品提案が進展。

  • 小売業者のニーズとして「刺繍外注先の紹介」など、周辺連携の重要性が示唆。

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③ 季節構造・外注構造

  • 学生服は春先に業務が集中

  • 刺繍業者減少・人口集中により、関東圏から中部・関東北部へ外注エリアが拡大

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4. ECサイト運営の問題点

  • 学生服ECは「販売自体は可能」だが、

    • 学校別商品が他校へ誤って販売されるリスク

    • プラットフォーム仕様理解不足による設計ミス
      が問題化。

  • BASEは鍵管理が難しく、EC-CUBE・カラーミーショップは制御性が高い

  • 在庫管理には顧客管理+多店舗在庫管理が前提で、POS連携(例:スマレジ系)が重要。

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5. 学生服の商品特性と在庫問題

① 商品点数が増える構造的理由

  • 地域共通制服導入後も、旧制服・学校別胸章が残存

  • 女子スカートは**丈調整不可(3cm刻み)**で、サイズSKUが増加。

  • 校則チェックもデザインで判別可能な設計。

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② 在庫の実態

  • 1校あたり約400点、

  • 小規模店舗でも20校対応 → 最大5,000点規模の在庫を保有する可能性

  • ブレザー・シャツ・体操服・靴・かばん等、通年+季節商品が混在。

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6. 商品コード・管理の課題

  • 商品名が長文化し、在庫登録・管理が煩雑

  • 属性分解による**ルール化された商品コード(図番的発想)**の重要性を提案。

  • 製造業的な「属性×規格×仕様」での整理が、学生服・アパレル在庫管理にも有効。

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7. 全体の示唆(まとめ)

  • 刺繍業・学生服業界は
    ①少子化 × ②事業者減少 × ③在庫複雑化 × ④EC対応
    という複合課題を抱えている。

  • 一方で、

    • 技術(AI刺繍機、体形測定)

    • 管理(コード設計、POS・EC設計)

    • 連携(外注ネットワーク)
      を整理・最適化することで、中小事業者にも十分な差別化余地があることを示す内容。

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